48 小瓶

強い香りがある、それにとってはどんな物質も
多孔質だ。それはガラスを貫くとも言えよう。
オリエントから来た小箱を開けることによって、
そのとき錠前がきしみ嫌がって叫ぶのだが、

または無人の家で、あるタンスを開けることによって、
それは刺すような歳月の匂いに満ち埃をかぶって黒い
のだが、時おり見いだすのは心にとめている古い小瓶。
そのなかから生き生きとほとばしるのだ、蘇る魂が。

千の思考が眠っていた。陰気なさなぎたち、
重い暗闇のなかで穏やかに震えて。
それらが、はねをのばし、飛び立っている。
紺碧に薄く色づき、薔薇色の光沢で、金のラメで。

心酔わせる思い出がある。不安げななかに浮かんで
いるが。眼が閉まる。「めまい」が
負けた魂をつかみ両手で押している、
人間の瘴気に覆い隠された深淵へと。

「めまい」が魂を古い深淵の縁に投げ飛ばす。
そこでは、においを発し屍衣を引き裂くラザロが、
目覚めのなかで動いている。幽霊のような死体。
すえたにおいで魅力的で墓を思わせる古い恋のだ。

それで、私が人々の記憶のなかで忘れられたとき、
陰気なタンスの片隅の、老化した、埃まみれの、
きたない、卑しい、ぬるぬるした、ひび割れた、
悲しみの古い小瓶のように私を人が捨てたとき、

私は君の棺桶になろう、愛すべき疫病!
君の力と君の毒性の証人になろう、
いとしい毒、天使たちによって調合されている!
私を蝕んでいるリキュール、オー私の心の生と死!