74 ひび割れた鐘

冬の夜々に、耳を傾けて苦く甘美なものは、
揺らめいて煙る暖炉のそばで、
霧のなかで歌うカリヨンの音にのせて、
ゆるやかに立ちのぼる数々の遠い思い出。

幸いなるかな、強い声帯をもつ鐘、
それは老齢にもかからわず、軽快で健康で、
敬虔な叫び声を正確に発しているのだ、
テントの下で寝ずの番をする老兵のように!

この私の魂はひび割れている、そしてアンニュイな
私の魂がその歌で夜々の冷たい大気を満たしたい時、
よくあることだが、弱ったその声は

負傷者の重いあえぎのように思われる。
その人は、血の海の端、死体の大山の下に忘れられ、
それから死ぬ、莫大な努力のなかで身動きもできずに。