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125 好奇心の強い男の夢 Le Rêve d'un curieux


    125 好奇心の強い男の夢
            F.N.に

私と同じように、君は知っているか、味のある苦悩を、
君のことを人に言わせているか「オー!変わった人!」
━━ 私は死のうとしていた。恋する私の魂のなかに
あったのは、恐怖の混じった欲望、独特の苦痛、

不安と激しい希望、逆らう気はなかった。
運命の砂時計が空になってゆくほど、
私の苦しみはもっと激しく、甘美になった。
私の心のすべては親しんだ世界から抜け出ようとしていた。

私は芝居を見たがっている子供のようだった、
困難を憎むように、その幕を憎んでいて . . .
ついに冷酷な真実が明らかになった。

私は死んでいた、驚きなしに、そして恐ろしい曙は
私を包んでいた。━━ エー何!これはまさかそれだけか?
幕は上がっていたのに、私はまだ待っていた。



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124 一日の終わり La Fin de la journée


      124 一日の終わり

どんよりした光のもとで
わけもなく走る、踊るそして身をよじる
「ライフ」、破廉恥で騒々しい。
だから、地平線に

快楽を好む夜が上がってくるとすぐに、
すべてを、飢えさえも、鎮め、
すべてを、恥さえも、消している夜だが、
「詩人」は自分に言う、「ついに!

私の精神は、私の脊椎と同じく、
休息を熱烈に願っている。
その心、死を思わせる夢々で満ちている、

私は背を下にして寝るとしよう
そしてあなたの帳のなかで転がろう、
オー再び新鮮にする暗闇!」



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123 芸術家たちの死 La Mort des artistes


      123 芸術家たちの死

何回しなければならないのか、私の鈴を振ることを、
そして君の下品な額、陰気な戯画、にキスすることを?
神秘のモデルの、標的のなかを突き刺すために、
オーわが矢筒、何本の投げ槍を失わなければならないのか?

我々は巧妙な陰謀に我々の魂をすり減らし、
多くの重い骨組みを解体するだろう、
地獄の欲望が我々を嗚咽で満たす
偉大な「創造物」を熟視する前に!

自らの「偶像」を決して知らなかった人もいる、
しかもそれらの彫刻家たちが、地獄に落とされ、
侮辱の烙印を押され、胸と額を自ら槌で叩いているが、

ひとつしかもっていないのは希望、奇妙で暗い凱旋だ!
「死」は、新しい太陽のように中空にかかり、
彼らの頭脳の花々を開花させるだろう!


122 貧しい人々の死 La Mort des pauvres


     122 貧しい人々の死

「死」こそが、慰める、アー!そして生きさせる。
それは人生の標的であり、それは唯一の希望である、
それは、霊薬のように、我々を高揚させ、我々を酔わせる、
そして夕暮れまで歩く勇気を我々に与える。

嵐、雪、霧氷を越えて、
それは光、我々の黒い地平で震えている。
それは宿屋、有名で本に書かれている、
そこでは食べる、眠る、座ることができる。

それは「天使」、磁気のあるその指々のなかに
睡眠とうっとりした夢の贈り物を握っている、
そして裸で貧しい人々のベッドを作り直している。

それは「神々」の栄光、それは神秘の穀物倉、
それは貧しい人の財布であり、その人の古い故郷、
それは開かれた柱廊、未知の「天国」への!



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死  121 恋人たちの死 La Mort  La Mort des amants


           死

     121 恋人たちの死

私たちが持つことになるのは、軽い香りに満ちたベッド、
墓のように深々とした長椅子、
そして飾り棚の上には奇妙な花々、
ひときわ美しい空の下で、私たちのために花開く。

競ってそれらの最後の熱を用いて、
私たちの二つの心は、大きな二つの炎になる、
そしてそれらは二重の光を反映するだろう、
私たちの二つの精神、双子の鏡のなかに。

バラ色と神秘のブルーからなる夕暮れに、
私たちはただ一つの閃光を交わし合うのだ、
永別で重苦しい、長い嗚咽のように。

そしてのちほど、忠実で喜ばしい「天使」が
扉を押し開き、よみがえらせに来るだろう、
曇った二つの鏡と死んだ二つの炎を。



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120 サタンへの連祷 Les Litanies de Satan

   
     120 サタンへの連祷

オー君、「天使」のなかで最も博識で最も美しい者、
神、運命に裏切られ、賛歌を奪われている、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

オー追放の「王者」、彼に対して不当に扱われていた、
そして負けても、つねにもっと強く立ち上がっている、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

すべてを知る君、地下の事物の偉大な王、
人間の苦悩をなおす親しい治療師、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、癩病患者や、呪われた不可触賤民にさえ、
愛によって「天国」の味を教えている、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

オー君、「死」から、君の老いて強い恋人だが、
もうけたのは希望、━━ 心ひかれる狂女!

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、被追放者に静かで気高い眼差しをする、
彼が厳しく非難するのは死刑台のまわりの全群衆、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、ねたむ大地のどんな片隅に
嫉妬深い神が宝石を隠したかを知っている、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、その明るい目は深部の武器庫を識別する、
そこに埋もれて眠っているのはたくさんの金属、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君,その大きな手は絶壁を隠す、
建物の縁をさまよう夢遊病者に対して、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君,魔法のように、柔軟にするのは、
遅くなって、馬々に踏まれた酒飲みの老いた骨々、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、苦しんで弱々しい人間を慰めるために、
我々に硝石と硫黄の混ぜ方を教えた、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、押すのは君の烙印、オー狡猾な共犯者、
無慈悲で下劣な大富豪の額の上に、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

君、娘たちの目のなかや心のなかに置くのは
傷の崇拝とぼろ服の愛、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

流刑者の杖、発明家のランプ、
絞首刑者と謀反人の聴罪司祭、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

養父、「父なる神」が黒い怒りで
地上の楽園から追い出した者たちの、

オーサタン、私の長い悲惨を哀れむのだ!

        祈り
栄光と賛歌を、君、サタンへ、かつて君が
支配した「天」の高みにおいて、そして負かされて、
君が黙って夢想する「地獄」の底において! 
私の魂が、いつの日か「知恵の木」の下で、
君のそばに憩うように計らいたまえ、「新しい神殿」
のように、君の額の上にその若枝らが広がるその時に!



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119 アベルとカイン Abel et Caïn


    119 アベルとカイン

           Ⅰ
アベルの末裔、眠れ、飲め、食べろ。
神は君に好意をもって微笑んでいる。

カインの末裔、泥のなかで
這え、そして死ね、惨めに。

アベルの末裔、君の供物は
「熾天使」の鼻を楽しませる!

カインの末裔、君の責め苦は
いつか終わりがあるだろうか?

アベルの末裔、見よ、君のまく種と
君の家畜がよく育つのを。

カインの末裔、君の臓物は
飢えてわめく、老犬のように。

アベルの末裔、君の腹を温めよ
質素な君の暖炉で。

カインの末裔、君の洞穴のなかで
寒さに震えろ、哀れなジャッカル!

アベルの末裔、愛せ、そして殖えろ!
君の金も子たちを生む。

カインの末裔、燃える心、
大きな欲に気をつけろ。

アベルの末裔、君は殖える、そして食べる
カメムシのように!

カインの末裔、街道の上に
追いつめられた君の家族を連れて行け。

         Ⅱ
アー! アベルの末裔、君の腐った動物の死骸は
湯気をたてる大地を肥沃にするだろう!

カインの末裔、君の課せられた仕事は
十分になされていない。

アベルの末裔、ここに君の恥がある。
鉄具が槍に負けたのだ!

カインの末裔、天に昇れ
そして地上に投げろ、神を!



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反逆 118 聖ペテロの否認 Révolte Le Reniement de saint Pierre


          反逆

    118 聖ペテロの否認

神はいったい何をするのか、そのいとしい「熾天使」たちに
向かって毎日高まる呪いのその波について?
肉とワインで腹いっぱいの暴君のように、
彼は眠りこむ、我々の恐ろしい侮辱を甘い騒音にして。

殉教者や受刑者の嗚咽は
確かに、うっとりする交響曲なのだ、というのは、
彼らの快楽が強いるのはその血であるにもかかわらず、
天はまだそれに少しも飽き足らないのだから!

━━ アー!イエス、思い出せ、オリーブの園を!
単純にも君はひざまずいて祈っていたのだ、
卑しい執行人らが君の生きている肉に打ちこむ
釘々の音に対して、天上で笑っていた神に、

衛兵隊や炊事係の下劣なやつらが、
君の神性の上に唾を吐くのを君が体験したのに、
そして無限の「人間性」が生きる君の頭蓋に
茨の棘が突き刺さるのを君が感じたのに。

壊れた君の体の恐ろしい重さは
君のゆるんだ両腕を伸ばし、君の血
と君の汗が青ざめてゆく君の額から流れていた時、
君がみんなの前で標的のように置かれた時、

君が夢見ていたのは、あれほど輝かしく美しかった日々か、
永遠の約束を果たすために君がやってきた日々か、
おとなしい牝驢馬に乗って、花と小枝が
すべてまき散らされた道を君が歩んでいた日々か、

希望と勇気ですっかり満たされた心の君が
あれらの卑しい商人らみんなを思い切り鞭打っていた日々か、
君がついに師となった日々か? 悔恨、それは
槍よりも深く君の脇腹に食い込みはしなかったか?

━━ 確かに、私は離れるのだ、私といえば、満足して、
行動が夢の姉妹ではない世界から。
願わくは、剣を使い、剣によって滅びたいものだ!
聖ペテロはイエスを否認した . . . 彼はよくやった!



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