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50 曇り空 Ciel brouillé


        50 曇り空

まるで君の眼差しは靄で覆われているようだ。
不思議な君の目は(それは青色、灰色、緑色?)
代わるがわるに優しく、夢見がちで、残酷で、
空の無感覚と青白さを映している。

君は白く、生暖かく、ぼやけたあれらの日々を思い出させる。
それらは魔法にかかった心を泣き崩れさせている、
そのとき、心をねじる何とも知れない悪であおられて、
あまりに覚めた神経は、眠る精神を揶揄している。

君は時々それぞれの美しい地平線に似ている。
それらに霧の四季のそれぞれの太陽が火をつける. . .
なんて君は輝いているのか、ぬれた風景
それを曇り空から射す光が燃え上がらせている!

オー危険な女、オーうっとりする風土!
私は君の雪も氷霧も熱愛するだろうか、
そして私は冷酷な冬から引き出せるだろうか、
氷よりも鉄よりも鋭い快楽を?



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49 毒 Le Poison

  
        49 毒

ワインは一番きたない安宿を
   奇跡的な豪奢に覆うことができる、
そして伝説の柱廊をひとつならず出現させる。
   赤い蒸気の金色のなかに、
ちょうど曇った空のなかに沈む太陽のよう。

阿片は限界のないものを広げ、
   無制限を伸長する、
時間を深くし、逸楽を掘り下げ、
   そして黒く陰気な快楽を
魂にその容量を超えて満たす。

そんなことすべてが及ばないものは毒、
   それが流れてくるのは君の眼、君の緑の眼、
湖、そこでは私の魂が震え私の姿を裏返しに見る . . .
   私の夢々は渇きをいやすために
苦いその渦巻に大挙してやって来る。

そんなことすべてが及ばないものは恐るべき驚異の
   君の唾液、それは腐食する、
それは私の魂を後悔なく忘却のなかに沈める、
   そして、めまいを押し流し、
衰弱したその魂を死の岸辺へ転がす!



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48 小瓶 Le Flacon

         48 小瓶

強い香りがある、それにとってはどんな物質も
多孔質だ。それはガラスを貫くとも言えよう。
オリエントから来た小箱を開けることによって、
そのとき錠前がきしみ嫌がって叫ぶのだが、

または無人の家で、あるタンスを開けることによって、
それは刺すような歳月の匂いに満ち埃をかぶって黒い
のだが、時おり見いだすのは心にとめている古い小瓶。
そのなかから生き生きとほとばしるのだ、蘇る魂が。

千の思考が眠っていた。陰気なさなぎたち、
重い暗闇のなかで穏やかに震えて。
それらが、はねをのばし、飛び立っている。
紺碧に薄く色づき、薔薇色の光沢で、金のラメで。

心酔わせる思い出がある。不安げななかに浮かんで
いるが。眼が閉まる。「めまい」が
負けた魂をつかみ両手で押している、
人間の瘴気に覆い隠された深淵へと。

「めまい」が魂を古い深淵の縁に投げ飛ばす。
そこでは、においを発し屍衣を引き裂くラザロが、
目覚めのなかで動いている。幽霊のような死体。
すえたにおいで魅力的で墓を思わせる古い恋のだ。

それで、私が人々の記憶のなかで忘れられたとき、
陰気なタンスの片隅の、老化した、埃まみれの、
きたない、卑しい、ぬるぬるした、ひび割れた、
悲しみの古い小瓶のように私を人が捨てたとき、

私は君の棺桶になろう、愛すべき疫病!
君の力と君の毒性の証人になろう、
いとしい毒、天使たちによって調合されている!
私を蝕んでいるリキュール、オー私の心の生と死!



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