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13 旅するボヘミアン Bohémians en voyage


     13 旅するボヘミアン

預言者の種族は、燃える瞳で
昨日街道に身を移した、幼児を背負い、
あるいは、そのすばらしい食欲に
いつも用意のできた宝、垂れた乳房をゆだねながら。

その男たちは輝く武器の下を歩いて行く、
彼らの家族が身を寄せる荷車に沿って。
消えた空想の陰気な後悔によって
重くされた目を空に向かって巡らせながら。

砂の多い砦の奥から、コオロギは、
彼らが通過するのを見ながら、その歌声を倍加している。
彼らを愛する大地の女神キュベレは、彼女の緑を茂らせ、

岩山から清水を流し、砂漠を花で飾らせる、
その旅人たちの前で。彼らに開かれているのは
未来の暗闇の、いつもの世界。



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12 前世 La Vie Antérieure


         12 前世

私は壮大な柱廊の下に長い間住んだ、
海のいくつもの太陽は、そこを幾千もの火で染めていた、
その大きな列柱は、垂直にして壮大で、
夕方、そこを玄武岩の洞窟のようにしていた。

波のうねりが、天の像を映して巻き込みながら、
荘厳で神秘の仕方で混ぜていたのは、
その豊かな音楽の、全能の響きと
私の目に映った夕日の色。

そこなのだ、私が穏やかな逸楽に生きたのは、
碧空、波々、壮麗さの真ん中で、
香りがしみこんだ裸の奴隷たちに囲まれて。

彼らは棕櫚の葉で私の額を涼しくしていた、
そして唯一の心配りは、私を憔悴させていた
苦悩の秘密を掘り下げることだった。



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11 不運 Le Guignon


         11 不運

これほどの重荷を持ち上げるには、
シシュフォス、きみの元気が必要だろう!
仕事に精を出す気はあるにもかかわらず、
「芸術」は長く、「時」は短い。

名高い墓から遠く離れ、
人里離れた墓地に向かって、
私の心臓は、かすかな太鼓のように、
しだいに葬送行進曲を打ち鳴らしている。

―多くの宝石は埋もれて眠っている、
暗闇と忘却のなかで、
つるはしとボーリング機からはるかに離れて。

多くの花は心ならずも
秘密のような甘いその香りを放っている、
深い孤独のなかで。


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10 敵 L'Ennemi


          10 敵

私の青春は、暗闇の雷雨でしかなかった、
そこかしこ、輝く日光によって貫かれていたが。
雷と雨が大損害を生じさせた、
私の庭に残っているのは、ごく少数の赤い実だ。

さて私は思想の秋にかかわってしまっている、
それなのに、洪水が墓のように大きな穴々を掘り
その水につかった土地を、シャベルと熊手を使って
新たにまとめなければならない。

そして誰が知ろう、私の夢見る新しい花々が
砂浜のように洗われたこの土壌のなかに
それらの活力となる神秘の糧を見出すかどうかを。

―オー苦痛!オー苦痛! 「時」は生命を食べている、
しかもその難解な「敵」は、われらの心臓をかじり、
われらの失う血で、増大し強固になる!


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9 劣った修道士 Le Mauvais Moine

     
       9 劣った修道士

昔の修道院の回廊というものは、大きな壁に
神聖な真理を絵にして並べていた。
その効果は、敬虔な心を底から温め、
厳格な生活方法の冷たさを和らげていた。

キリストのまいた種が花開いていたその時代、
今はあまり引き合いにならない卓越した修道士が
一人ならず、葬式の場をアトリエとみなし、
率直に死をたたえていた。

―私の魂は墓だ、劣った共住修道士の私が
ずっと前から歩き回り、住んでいるところ。
忌まわしいこの回廊の壁々を飾るものは何もない。

オー怠惰な修道士!私はいつ
私の悲しい逆境の今も続く光景を
私の手で作品にし、私の目で愛することができるのか?


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8 金で動くミューズ La Muse Vénale

      
       8 金で動くミューズ

オーわが心のミューズ、宮殿の愛好者、
きみは、一月がその北風の神々を放つとき、
雪の晩の黒い倦怠のあいだに、きみの紫色の両足を
暖めるための燃えさしを持っているだろうか?

きみはじゃあ、よろい戸にさし込む夜の光で
大理石模様のきみの肩をよみがえらせるのか?
きみの財布はきみの宮殿と同じく空っぽだから、
蒼空のドームから、金を採取するのか?

きみは、毎晩のパンを得るために、
聖歌隊の子供のように、香炉を振ったり、
ほとんど信じない讃歌を歌ったり、

あるいは、空腹の大道芸人のように、きみの色気と人の
知らない涙にぬれたきみの笑いをさらさなければならない、
庶民の腹をよじらすために。


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7 病気のミューズ La Muse Malade

     
         7 病気のミューズ

私の哀れなミューズ、アー!今朝はいったいどうした?
きみの落ちくぼんだ目には夜の幻たちが住みついている、
しかも私が見るのは、かわるがわるきみの顔色に映される
狂気と恐怖、冷たく無口だ。

緑がかった女夢魔やピンクの小悪魔が
彼女らの壺から、きみに恐れと恋愛を注いだのか?
悪夢が、横暴で反抗的な拳によって、
きみを伝説的なミントゥルナエの沼底で溺れさせたのか?

私は願っている、健康のにおいを発する
きみの胸が、いつも強い思考力の訪れであることを、
そしてキリスト教徒のきみの血が律動して流れることを

古代の音節にある数々の響きのように。
そこでは歌の父太陽神と、収穫を司る偉大な牧神が
かわるがわる君臨している。


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6 灯台たち Les Phares


        6  灯台たち

ルーベンス、忘却の河、怠惰の楽園、
輝く肉の枕、そこでは愛することが不可能、
しかし生命は流れ込み絶えず揺れ動いている、
空の大気や海のなかの海のように。

レオナルド ダ ヴィンチ、深く暗い鏡、
そこでは魅惑的な天使たちが、なぞに満ちた
やさしい微笑を浮かべ、その国を囲む
氷河や松の陰に姿を現している。

レンブラント、悲惨な施療院、ささやきが満ちあふれ、
キリスト像のついた大きな十字架がただ一本飾られている、
そこでは涙ながらの祈りが汚物から立ちのぼり、
ひと筋の冬の光が不意に横切っている。

ミケランジェロ、漠然とした場所、そこで見えるのは
キリストたちに交じるヘラクレスたち、
そして、すっくと立ち上がる強い亡霊たち、
かれらの屍衣を夕暮れに、指を伸ばし引きちぎっている。

ボクサーの怒り、半獣神の破廉恥、
きみは、従卒の美を拾い集めることができた、
傲慢でふくれた偉大なる心、虚弱で黄ばんだ男、
ピュジェ、徒刑囚らの憂鬱な帝王。

ヴァトー、あの謝肉祭、そこでは高名なる人々が、
蝶のように、光り輝きながらさまよっていて、
新しく軽い舞台装置が、渦巻く舞踏会に狂気を注ぐ
シャンデリアに照らされている。

ゴヤ、悪夢、未知の事柄でいっぱいだ、
サバトのさなかで煮られている胎児で、
鏡に向かう老婆たちで、そして全裸の少女たちで、
彼女たちは悪魔らを誘惑するために、靴下を直している。

ドラクロワ、血の湖、悪い天使らが出没している、
常緑の樅の林が影を落としている、
そこでは、陰鬱な空の下で、奇妙なファンファーレが
過ぎて行く、ウェーバーの押し殺された溜息のように。

これらの呪い、これらの冒瀆、これらの嘆き、
これらの忘我、これらの叫び、これらの涙、これらの賛歌は、
無数の迷路を通って繰り返し響くひとつの木霊だ。
それは死すべき人間にとってひとつの神の阿片だ!

それはひとつの叫び、無数の歩哨により繰り返される、
ひとつの命令、無数の伝声管により返信される。
それはひとつの灯台、無数の城砦にともされる、
ひとつの呼び声、大きな森で迷っている狩人たちの!

なぜなら、主よ、それはまさにわれらの尊厳について
われらが示しうる最良の証言だからだ、
時代から時代へ巡り、あなたの永遠の岸辺で
消滅することになる、その熱烈なむせび泣きこそは!


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